高知県香南市赤岡町にある高木酒造さんを訪問しました。
そして、今回1番気になったお酒「いとをかし」のことと、酵母のことを中心に書きたいと思います。
実は「いとをかし」、そもそも酵母を間違えて出来たお酒なのです。
今回、蔵内を案内してくださったのは、6代目蔵元の高木一歩さんです。丁寧にいろいろなことを話してくださいました。
この「いとをかし」の誕生秘話を最初に聞いたのは、銀座にある、まるごと高知の地下一階にある酒屋さんからでした。
6代目の高木一歩さんは、東京農大時代に、高知のアンテナショップにあるレストランでアルバイトをしていて、2人はその頃からよく知っているんだそうです。一緒に飲みに行ったり。
まず「いとをかし」は酵母を間違えたお酒と言うことで、酵母とは何?、ってところをものすごーく簡単に説明します。
米をブドウ糖に変えるのが麹で、その糖を食べてアルコールにするのが、酵母です。
この時に香気成分も一緒に出すため、酵母によって日本酒の香りが変わります。
高知のお酒は、もともと淡麗辛口なものが多かったのですが、純米酒や吟醸酒が全国的なトレンドとなり、平成になってから、高知県独自の高知酵母が高知県工業技術センターにより開発されます。下の写真のようにAの付く酵母はバナナやメロンのような香り、Cの付く酵母はリンゴのような香りが特徴です。
写真にのっているお酒は、高木酒造さんのお酒で、酵母別に分類してあります。
高木酒造さんで、おり酒を仕込もうと、写真上のちょうど真ん中あたりの両方の香気成分をバランスよく持っている、AC95を県の工業技術センターから入手します。この時に入荷したのが、実は1番右側にあるCEL24でした。酵母は菌のため目に見えないので、この時点では誰も気づいていません。
お酒を仕込んで何日か経つと、リンゴのような香りが・・・
「香りが違うぜよ!」と言ったかどうかは分かりません。
もろみを分析してみると、酵母がCEL24と判明。
もうドキドキでしょうね。
そこで止めることも出来ずに、出来たのは甘いにごり酒。お菓子のように甘いのと、おかしいを掛け「おかしなにごり酒」と名付けられ販売されました。
座布団一枚!って感じです。
その後、CEL24に興味を持ち改良して出来たのが、「いとをかし」なのでした。
この商品に限らず、背景にはいろいろなエピソードがあるんですよね。面白いですね。
お店でも高木酒造さんのお酒が飲めます。酵母別に左からAA41、AC95、CEL24 です。
最後に蔵内の様子を少しですが。
お忙しい中ありがとうございました。
島田 歩